2010 Fiscal Year Annual Research Report
トーラス磁場閉じ込めプラズマにおける乱流構造と輸送障壁の研究
Project/Area Number |
20760581
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
糟谷 直宏 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (20390635)
|
Keywords | トーラスプラズマ / 改善閉じ込め / 乱流構造 / 輸送障壁 / 帯状流 / ストリーマ / 3次元性 / スペクトル法 |
Research Abstract |
本研究はトーラス磁場閉じ込めプラズマにおける改善閉じ込め現象の物理的理解を目的とする。改善閉じ込めプラズマ中の輸送を理解するには乱流が形成するメゾスケール構造の形成機構の理解が必要である。プラズマ実験で行われている乱流計測を乱流コードによって生成した3次元的な乱流場に対して模擬することで、実験とシミュレーションの比較が可能となり、現象の理解を深めることができる。そこでドリフト波乱流の数値シミュレーションを行い、その数値乱流場に対して計測模擬を行うことで、プラズマの微視的乱流が形成する乱流構造の形成機構を研究した。本年度は平成21年度に開発したドリフト交換型モードコードを用いて、トロイダルプラズマにおける不安定性によって駆動される乱流を模擬した。ループ構成の最適化、並列指示行の追加、冗長部の整理などコードに改良を加え、スレッド並列の効率改善を行った。そして長時間時系列乱流データの生成時間を約2/5に短縮することができた。また、実験計測を模擬するモジュールの開発を重イオンビームプローブ(HIBP)および位相コントラスト干渉計(PCI)について行った。HIBP数値診断では揺動場中での重イオン粒子の運動、およびその軌道に沿ってのビーム減衰を計算し、有限ビーム幅内での平均として得られるポテンシャル、密度信号を算出する。PCI数値診断では入射レーザラインに沿った密度場から、密度揺動の2次元波数スペクトル分布を算出する。これらモジュールをドリフト交換型モードコードから得られた3次元乱流場時系列データに適用した。特徴的な空間スケールを持つ乱流構造に対する有限空間分解能での計測、線積分量として得られる信号から局所的な値を抽出する手法について知見が得られた。トーラス磁場閉じ込めプラズマにおける乱流構造形成による輸送への寄与を定量的に評価する基盤となる成果である。
|