2009 Fiscal Year Annual Research Report
モーショナルシュタルク効果計測光学系を利用したELMパルス伝搬機構の解明
Project/Area Number |
20760586
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鈴木 隆博 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (60354594)
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Keywords | プラズマ・核融合 / Hモ-ドプラズマ / ELMパルス / モーショナルシュタルク / ビーム放射分光 / プラズマ密度 / スクレイプオフ層 / 背景光 |
Research Abstract |
本研究課題では、核融合に必要な高閉じ込めモード(Hモード)プラズマにおいて観測されるプラズマの間欠的な放出(ELMパルス)のプラズマ外での伝搬を調べる。モーショナルシュタルク効果(MSE)計測器は計測用中性粒子ビーム(NB)をプローブとし、信号光強度はプラズマ密度に比例する。このため、ELMパルスの伝搬をプラズマ密度の伝搬として測定できることが期待される。一方、MSE計測器はELMパルスによる光以外の背景光も観測するため、ELMパルスの伝搬を正確に測定するためにはこの背景光の除去が必須となる。 H20年度に取得したJT-60Uの実験データを用い、H21年度はNB入射を一次停止した時のデータを用いて信号光用と背景光用の2つの検出器を相対感度較正することで、背景光を除去する手法を確立した。さらにダイバータ領域で測定したELMパルスを全MSE空間チャンネルの共通の参照タイミングとして同期して594のELMパルスについて平均化を行うことでELMパルスの伝搬速度を評価する手法も確立した。これらによりELMパルス伝搬測定のためにプラズマ位置形状を最適化したJT-60UプラズマにおいてELMパルスの伝搬速度を0.8-1.8km/s(最小2乗平均で約1.4km/s)と評価し論文を発表した。 特にH21年度までの研究により、背景光の空間位置依存性が比較的小さく、背景光がプラズマの内外で大きく違わないことを明らかにした。これは背景光チャンネルがプラズマ外になるように位置形状を最適化したプラズマでなくても、背景光を適切に除去しELMパルスの伝搬計測が行えるという可能性を示している。解析対象とするJT-60Uプラズマの母集団数を増やせる可能性があるため、JT-60Uデータの統計的な精度の向上の観点から有用な解析結果を得た。
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