2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子レーザー法と蒸留法を融合した新規同位体分離法「分子レーザー蒸留法」の開発
Project/Area Number |
20760591
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 伸介 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (80345389)
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Keywords | 同位体分離 / 化学工学 / 反応・分離工学 / COレーザー / カルボニル基 / 炭素同位体 / 酸素同位体 / 分子レーザー蒸留法 |
Research Abstract |
昨年度は、ギ酸メチル-液体窒素冷媒のシステムを用いて分子レーザー蒸留法による同位体分離実験を行い、気相で回収されたギ酸メチルの炭素同位体分離係数1.03が得られた。本年度は、ギ酸-ドライアイス・メタノール冷媒のシステムを用いて分子レーザー蒸留法による同位体分離実験を行った。分離セル内にCOレーザーを照射した状態でギ酸を流通させ、分離セル内で凝縮せずに下流部で回収されたギ酸の炭素および酸素同位体組成を質量分析計で測定した。その結果、同位体組成の変化が観察され、酸素同位体に対する分離係数として1.06という値が得られた。また、炭素同位体分離係数は0.96であった。これは、炭素13が凝縮相側に濃縮していたことを表している。次に、振動励起分子の凝縮過程の分子動力学計算プログラムを作製し、励起分子と凝縮相との衝突過程に対する分子動力学計算を行った。その結果、凝縮相の分子層が薄いほど分子交換現象による分離係数の低下が防げることがわかった。この知見をもとに、液相の生成を出来る限り抑制するために、分離セル内に多孔性の吸着剤を吸収壁として配置し、同位体分離実験を行った。まず、ギ酸を作業物質、モレキュラーシーブ5Aを吸着剤として用いて実験を行った。分離セルで吸着されずに流れ去り下流部で回収されたギ酸の炭素および酸素同位体組成を質量分析計で測定した。その結果、炭素の同位体分離係数はほぼ1であったが、酸素の同位体分離係数1.06が得られ、吸着剤を併用することで分離性能が向上するという知見が得られた。以上のように、本研究を通して得られた分離係数は、気液平衡定数から算出される分離係数よりも十分に大きな値であり、本手法の有効性を実験的に証明することができた。
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Research Products
(2 results)