2008 Fiscal Year Annual Research Report
水和物溶融体中でのネプツニウムの溶存状態の分光分析研究
Project/Area Number |
20760594
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 俊行 Kyoto University, 原子炉実験所, 准教授 (10314296)
|
Keywords | ネプツニウム / 吸光分光分析 / 水和物溶融体 / 濃厚電解質溶液 / テルビウム / ユーロピウム / 蛍光分光分析 / 溶存状態 |
Research Abstract |
本研究は濃厚電解質溶液中のネプツニウムの溶存状態を分光分析法を用いて明らかにすることを目的とする。ネプツニウムイオンはNp(III)、Np(IV)、Np(V)、Np(VI)の原子価を有する。ネプツニウムイオンの吸光スペクトルは原子価ごとに特徴的な吸光スペクトルを示すため、その特徴に着目することにより、水和物溶融体中のネプツニウムイオンの原子価を決定する。また、吸光分光法を用いてスペクトルの時間変化を調査することにより、酸化還元反応の有無及びその反応速度に関する情報を明らかにする。 まず、濃厚電解質溶液として水和物溶融体の選定を行った。文献調査を行い、硝酸カルシウムの含水塩が溶融した硝酸カルシウム水和物溶融体が最適であると判断した。 京都大学原子炉実験所、ホットラボラトリにてネプツニウムを用いた試料調製を行った。ネプツニウム237の塩酸溶液を乾固し、硝酸を加えて再乾固することにより実験試料の化学形を硝酸系に調整した。その後に選定した硝酸カルシウム水和物溶融体に溶解した。 調製した試料を用いて吸光分光分析を行った。硝酸ネプツニウムを含有する、1M硝酸溶液、硝酸カルシウム4水和物溶融体、硝酸カルシウム8水和物溶融体の吸光分光分析を行った。Np(V)およびNp(VI)の溶存を確認した。スペクトルの時間変化は観測されなかった。 蛍光分光分析の基礎実験を行った。蛍光を発するユーロピウムとテルビウムの硝酸塩が硝酸カルシウム水和物溶融体に溶融した試料について、室温おにび液体窒素温度での吸光分光分析を行った。含水試料の液体窒素温度での測定は困難であったが、室温と液体窒素温度では、電気双極子遷移と磁気双極子遷移の蛍光強度の割合が変わることが確認できた。
|