2009 Fiscal Year Annual Research Report
α線放出核種と錯形成する抽出剤の放射線分解機構の解明
Project/Area Number |
20760599
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
須郷 由美 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354836)
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Keywords | 使用済み核燃料 / マイナーアクチノイド / 抽出剤 / 放射線分解 / α線 / ヘリウムイオン |
Research Abstract |
使用済み核燃料中に存在するアメリシウム(Am)やキュリウム(Cm)などのα線放出核種、いわゆるマイナー・アクチノイド(MA)を分離回収する抽出剤の耐放射線性を評価する際には、従来から最も簡便な方法であるγ線照射のみに頼ることが多かった。しかし、実際の分離プロセスでは、線エネルギー付与(LET)の低いγ線やβ線だけでなく、分離対象核種であるMAから生じる高LETのα線も抽出剤に吸収される。本研究では、α線による抽出剤の放射線分解機構の解明を目的として、今年度は以下の実験を行った。 1. 加速器を利用したα線照射: MA分離用抽出剤テトラオクチルジグリコールアミド(TODGA)を溶解したドデカン溶液に、前年度までに確立した照射条件を用いて、加速器から生じるα線(ヘリウムイオン)を照射した。照射後試料をガスクロマトグラフ質量分析装置で分析し、TODGAの分解収量をγ線の照射実験の結果と比較した。ヘリウムイオンの照射では、吸収線量の増加にともなうTODGAの分解率の変化がγ線照射に比べて小さく、ドデカン中TODGAの分解が抑えられることがわかった。これは、LETの高いα線の購では局所的に活性種が生成することから、溶媒による間接効果の影響が小さくなるためと考えられる。また、本結果から、α、β、γ線が混在する実際の系での抽出剤の分解収量は、従来のγ線照射試験のみで得られる値よりもかなり低く見積もられることが推測できる。 2. 内部線源によるα線照射: Am-241を含む硝酸水溶液と抽出剤を抽出平衡に達するまで振とうし、Am-TODGA錯体のドデカン溶液を調製した。内部α線源による抽出剤の放射線劣化に伴う分配比の変化を調バるため、ドデカン/硝酸水溶液間でのAm分配比の経時変化を長期間追跡する実験を開始した。
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