2009 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス電子ビームを用いた高出力テラヘルツ時間領域分光システムの開発
Project/Area Number |
20760601
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
黒田 隆之助 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (70350428)
|
Keywords | テラヘルツ / 超短パルス / 電子ビーム / コヒーレント放射 / レーザー / EOサンプリング法 / 時間領域分光法 |
Research Abstract |
本研究は、小型電子リニアックにより生成したエネルギー約40MeVの超短パルス電子ビームを用いて、そのコヒーレント放射により高出力THzパルスを生成し、EOサンプリング法によるテラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)システムの開発を目指すものである。それにより、レーザーベースの低出力テラヘルツ光源ではこれまで測りえなかった吸収の多い物質の分析や、分析時間の短縮等が期待される。本年度はEO結晶(ZnTe結晶)によるTHz検出を柱としたシステムの実現を目指した。昨年度までの成果として、コヒーレント・テラヘルツ(THz)放射光生成、簡易的なTHzパルスの集光等を達成している。本年度では、まず、小型電子リニアックによって生成した超短パルス電子ビーム(約300~500fs程度)を用いて、コヒーレント・テラヘルツ放射光生を成し、Niコーティング、及び金コーティングの軸はずし放物面鏡を用いて集光した。その際、集光サイズを回折限界(波長程度)まで絞るため、光源点から取出し窓までの距離を正確に計測し最適化研究を行った。さらに、EOサンプリング法によるTHzパルス検出を行うため、集光したTHzパルスの集光点にEO結晶を配置し、THzパルスを結晶上に集光させた。同時にフェムト秒レーザーをプローブ光として結晶に集光照射するため、アライメント用のファイバーレーザーにより精密な光路調整を行った。時間波形の取得には至らなかったが、結晶上でのプローブ光とTHzパルスとの空間的オーバーラップ制御の重要性が確認され、本研究におけるシステム実現のための多くの知見が得られた。また、本研究の派生研究として高出力のTHzパルスを利用した走査型のTHzイメージングに成功したことは大きな成果であると言える。
|
Research Products
(7 results)