2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温太陽熱/水素燃料転換のための内循環流動層反応器の開発
Project/Area Number |
20760603
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
郷右近 展之 Niigata University, 自然科学系, 助教 (20361793)
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Keywords | 水素 / 再生可能エネルギー / フェライト / 高温太陽熱 / 流動層 / 水熱分解サイクル / 湿式酸化法 / 反応器 |
Research Abstract |
高温太陽集光熱(〜1500℃程度)を水素に転換する「二段階熱化学サイクル」に関する研究開発が急速に活発化している。本研究の最終目標は、流通ガスの切り替え(N_2ガス⇔水蒸気)で2段階水分解サイクルを行う内循環流動層反応器を開発することである。本年度の研究実施計画の項目について得られた主な成果を以下に示す。 1) 高温流動性に優れた高活性水分解性セラミックの開発 内循環流動層反応器に用いる反応媒体として、フェライト/ジルコニアによる高活性反応性セラミックを開発し、熱還元反応温度(1400-1500℃)と水熱分解活性について検討を行なった。熱還元反応温度の増加に伴い、水素発生量・フェライトの反応寄与率が向上することを見出した。特に、Fe_3O_4/YSZ系反応性セラミックでは、熱還元反応温度1500℃で試料1gあたりの水素発生量が9.2cm^3に達した。 2) 内循環流動層反応器の設計・製作 一つの反応器で水蒸気の流通・停止だけで酸素・水素発生の二段階反応を行なえるソーラー反応器とするため、内管・外管それぞれに流通ガスを流すよう設計した。「総ガス流量」「内管/外管流量比」をパラメータとし、反応器内の流動層温度分布を熱電対で計測し、光照射下における反応性セラミックの高温流動特性を評価した。 3) 高出力大型太陽炉シミュレーターによる内循環流動層反応器の反応試験 太陽炉シミュレーターによる3kW集光照射下(補助加熱800℃)では流動層表面で1500℃に達する。熱還元反応が十分進行することから、3kW集光照射下で熱還元反応を実施した。その結果、集光照射15分でフェライト反応率が28%に達することを見出した。反応後の反応性セラミックは、粉末状の形態を維持しており、高温焼結・凝集が大幅に抑制できることが分かった。この結果は粉砕プロセスを行なわずとも次の水分解反応が進行しうることを示唆している。
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