Research Abstract |
電気自動車の普及にあたっては, 充電時間の短縮, 航続距離の確保, および回生エネルギーの有効活用という課題がある。それらを解決する高速エコパワーサプライシステムを利用した電気自動車(C-Vehicle)の近未来におけるコストおよびCO_2排出量を試算した。シミュレーションでは, 乗用車数, ステーション数, 平均走行距離, 走行パターン, 車体寿命などのデータを用い, 経済産業省の研究会による提言を参考にして想定した将来のキャパシタおよびリチウムイオン電池のエネルギー密度, 入出力密度, およびコストを主要パラメータとして, 2030年までのC-Vehicleの年間コスト(固定費+燃料費)を試算した。さらに,経済産業省の電気自動車普及予想に基づき, 全国の自家用車が排出する2100年までの1年あたりのライフサイクルCO_2排出量(a-LCCO_2)を試算した。その結果, 現在は約80万円/年である年間コストは, キャパシタおよびリチウムイオン電池のコストの下落とともに低下し, 2030年には約20万円/年と, ガソリン価格が200円/リットルの場合における従来のガソリン乗用車の年間コストを下回ることがわかった。また, 2007年現在, 我が国におけるa-LCCO_2は39 Mt-C/year(そのうちr-CO_2は33Mt-C/year)であるが, C-Vehicleの普及率が50%に達する2055年には25 Mt-C/year(同17 Mt-C/year)と, 2007年の水準から34%減少することがわかった。さらに, C-Vehicleの普及率がほぼ100%に達する2100年には12 Mt-C/year(同2 Mt-C/year)と, 2007年の水準から69%減少し, a-LCCO_2に占めるr-CO_2の比率は, 2007年現在は85%に達するが, 2100年には17%まで低下することがわかった。 シミュレーションに加えて, 未来電気自動車の主要電源である燃料電池およびキャパシタについて, それらの高性能化を検討した。
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