2009 Fiscal Year Annual Research Report
レトロトランスポゾン獲得による哺乳類の胎生進化の解明
Project/Area Number |
20770002
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野 竜一 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 助教 (10401358)
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Keywords | 胎盤 / レトロトランスポゾン |
Research Abstract |
申請者は、新規父性発現インプリンティング遺伝子Peg10(Paternally Expressed Gene 10)が哺乳類で高度に保存されているレトロトランスポゾン由来の遺伝子であり、哺乳類に特異的臓器である胎盤の形成に必須な機能を持っていることを明らかにした。これは、レトロトランスポゾンが哺乳類の進化の過程で、哺乳類の生存に必須な機能を獲得したことを実証した初めての報告である。この結果から、申請者は、レトロトランスポゾンを獲得遺伝子として利用することによって、哺乳類特異的機能である胎生を獲得したという仮説「レトロトランスポゾン獲得による哺乳類の胎生進化」を提唱している。本研究では、Peg10 KOマウスを用いて、レトロトランスポゾンであったPeg10が、どのように胎盤形成に関与しているかを明らかにすることによって、哺乳類の胎生進化を解明することを目的としている。Peg10にはDNA結合ドメインがあり転写因子として機能していると考えられることから、DNAマイクロアレイを利用してPeg10 KOマウス胎盤、Peg10 KO TS細胞において発現の消失している遺伝子群を単離した。これらの中には、既に胎盤形成に重要な機能を持つことが知られている遺伝子が数多く含まれていた。この結果から、Peg10は、胎盤形成に重要な遺伝子群の発現を制御することで、胎盤形成に関与していると言える。また、Peg10 KOマウス胎盤で発現の消失する遺伝子群には、その機能や発現について今まで報告の無かった遺伝子も数多く存在する。これらの遺伝子群をin situハイブリダイゼーションによって発現を解析したところ、胎盤の様々な部位で特異的に発現する遺伝子群であることが判明した。これらの遺伝子群を解析することで、哺乳類の胎生進化に関わった胎盤形成のメカニズムを明らかにできる。
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