2009 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパクを介した新規の温度受容メカニズムの分子神経遺伝学
Project/Area Number |
20770003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久原 篤 Nagoya University, 名古屋大学・大学院・理学研究科, 講師 (00402412)
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Keywords | 線虫 / 温度受容 / Gタンパク質 / 抑圧変異 |
Research Abstract |
温度は地球上に常に存在し、生体内の化学反応に変化をもたらす最も重要な環境情報のひとつである。そのため、地球上の全ての生物にとって温度の感知とその情報処理は必要不可欠である。これまでに、温度情報は6回膜貫通型のチャネルであるTRPによって受容され情報伝達されることが、ヒトからショウジョウバエの解析から明らかになっていた。しかし、神経系においてTRPを介さない分子経路に関しては明らかになっていなかった。本研究では、遺伝学に長けた実験動物である線虫C.エレガンスをつかい、温度に対する応答行動に異常をもつ変異体の解析から、新規の温度受容機構を明らかにした。具体的には、温度受容ニューロンにおける温度情報伝達に関して、哺乳類の視覚や嗅覚に必須な3量体Gタンパク質が必須であることが明らかにした(Kuhara, Okumura et al., Science, 2008)。つぎに、Gタンパク質を介した温度情報処理に関わる新規の分子を単離する目的で、Gタンパク質抑制因子であるRGSの変異体が示す温度応答行動の異常を抑圧する変異体を単離した。単離した変異体にかんして、野生株間の1塩基多型や、最新のハイスループットDNA配列同定技術などをもちいて原因遺伝子の同定を行なったところ、プロティンキナーゼCなどを含む幾つかの遺伝子に関しては原因遺伝子が同定された。以上の研究成果は、Gタンパク質を介した温度情報処理に関わる分子の同定に大きく寄与した。
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