2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70399327)
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Keywords | 里草地 / 希少種 / ホットスポット |
Research Abstract |
これまで、調査地内で3種の絶滅危惧種(スズサイコ、タチカモメヅル、キセルアザミ)と1種の普通種(ノアザミ)の分布を比較検討したところ、絶滅危惧種の分布は普通種に比べて圃場整備の行われてない伝統的な棚田の上部の畦に集中していることが明らかになった。これらの絶滅危惧種の分布する畦は耕作放棄にともない管理されなくなり草地環境が維持されづらいことも明らかにした。これは、日本の里草地において絶滅危惧種は圃場整備と耕作放棄の両方の要因によってその生息地が減少させられていることを示したはじめての成果であり、Agriculture, Ecosystems & Environment誌上で学術論文として発表した。 また50種を超える絶滅危惧植物の調査地域内分布のGIS情報化を行い、ホットスポット解析を行っている。予備的な結果では、多くの絶滅危惧種が棚田上部や林縁に集中して分布することが明らかになった。 さらに、ホットスポットとなっている伝統的な棚田において詳細な資源環境調査・植生調査を実施し、棚田では上部から下部にかけて土壌栄養塩の傾度があり、棚田上部は貧栄養な環境となっていること、この貧栄養な環境下で絶滅危惧種が多く分布していること、逆に普通種の多様性は棚田下部で高くなっていること明らかにした。この結果は農業生態系内での栄養塩傾度で絶滅危惧種の分布をうまく説明できることを初めて明らかにしたものであり、すでに論文化がすみ近日中に投稿予定である。 加えて調査地の絶滅危惧種を含む草本相を調べあげ、関西自然保護機構会誌に論文化を発表した。 以上、当初の研究目標は概ね達成されたといえる。
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Research Products
(3 results)