2009 Fiscal Year Annual Research Report
展葉の不均一性に着目した季節性熱帯常緑林における乾気蒸散量の時系列推定
Project/Area Number |
20770021
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 江利子 Forestry and Forest Products Research Institute, 北海道支所, 主任研究員 (20353584)
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Keywords | 生態学 / 自然現象観測・予測 |
Research Abstract |
本研究では、カンボジアの季節性熱帯常緑林における展葉現象の実態および展葉と蒸散速度の関係を解明し、乾季蒸散量を広域的かつ時系列的に推定することを目標としている。当年度はフタバガキ科林冠構成種について乾季蒸散量を経時的に測定し、展葉状態との連関を明らかにすることを目的とした。カンボジア中央部・コンポントム州の季節性常緑林において、林冠構成樹種であるフタバガキ科常緑樹Dipterocarpus costatusの個葉蒸散量を12月-2月の乾季期間に測定した。先ず、個葉蒸散量測定に用いた簡易蒸散量測定装置(DECAGON SC-1)の精度検定を行った。検定は乾季始め(2009年11月)の現地にて多樹種の切り枝を用いた光合成測定装置の標準機種(LI-COR,LI-6400)測定結果(田中らunpublished)との比較によって行った。両者の相関係数は高くない(R^2=0.35)ものの、蒸散活性の高低を示唆しうると判断した。経時測定はD.costatusの壮齢個体(DBH=48cm)および若齢個体(DBH=43cm)上の個葉140枚を対象にのべ7184回行った。展開した新葉の蒸散活性は展葉後10-40日目で高かった。30-40日目に最大となった後、60日目以降は最大活性の40-50%程度で推移した。問歇的な展葉現象を反映して、林冠には葉齢の異なる個葉が混在していた。枝単位の蒸散活性が最も高かったのは1月上旬であった。2月末日の測定終了時には展葉間近の葉芽が樹冠上に認められ、3.月下旬から4月上旬に掛けて、樹冠の蒸散活性が再び高くなることが予想された。なお、サテライト観測プロット候補としたクラティエ州スノウル野生生物保護区においては大規模な違法伐採と森林火災が発生し、調査機材・試料が焼失する等の被害が生じた。研究の履行は困難と判断し、当該地における蒸散量測定を中止した。
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[Presentation] Differences in seasonal courses of transpiration among several evergree n-broadleaf species in Kampong Thom, Cambodia2009
Author(s)
Iida S, Shimizu A, Sawano S, Kabeya N, Nobuhiro T, Tamai K, Shimizu T, Ito E, Chann S, Nang K
Organizer
International Workshop on Forest Research in Cambodia 2009
Place of Presentation
カンボジアプノンペン・JICA研修センター
Year and Date
2009-11-25
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