2008 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアの強光順化における転写制御機構の解明
Project/Area Number |
20770026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
日原 由香子 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60323375)
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Keywords | シグナル伝達 / 転写制御 / シアノバクテリア / 光合成 / 光順化 |
Research Abstract |
シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803において、光化学系I遺伝子群は、弱光下で高発現を示す一方、強光下では統一的かつ迅速に転写が抑制される。これまでの研究で我々は、各サブユニット遺伝子がコアプロモーター領域の直上流にHLR1(high light regulatory 1)配列を持つこと、この領域にOmpR型レスポンスレギュレーターRpaBが結合することにより、弱光下での転写が正に調節されていることを明らかにした。しかし、反応中心サブユニットをコードするpsaAB遺伝子の場合、独立した強光応答を示す二つのプロモーターを持つこと、すでにRpaBの特異的結合が示された領域(上流プロモーターのコア領域直上流)に加え、更に上流の3箇所にHLR1配列が存在すること、等から、他のサブユニット遺伝子とは異なる複雑な転写調節メカニズムが存在することが予想される。ゲルシフトアッセイを行ったところ、上流3箇所のHLR1配列のうち、2箇所へRpaBが実際に結合することを見出した。そこで、これら複数のHLR1配列が、psaAB遺伝子の二つのプロモーターの活性調節にどのように寄与しているかを明らかにするために、HLR1配列に変異を導入したレポーター遺伝子の系列を作製した。その結果、現在までに、psaAB上流プロモーター活性に対し、最上流のHLR1は弱光下で抑制的に働くが、強光応答には特に関わっていないこと、その下流のHLR1は上流プロモーター活性に対し、大きな影響は与えていないことを見出し、コア領域直上流のHLR1については、以前同定したとおり、弱光下で誘導的に働いており、強光応答に必須であることを確認した。今後、下流プロモーター活性へのこれらのHLR1配列の影響を調べていく予定である。
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Research Products
(6 results)