2009 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアの強光順化における転写制御機構の解明
Project/Area Number |
20770026
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
日原 由香子 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60323375)
|
Keywords | シグナル伝達 / 転写制御 / シアノバクテリア / 光合成 / 光順化 |
Research Abstract |
1)光合成生物であるシアノバクテリアの遺伝子発現は、生育光強度の変化に応答して大きく変動する。その際に、二成分制御系のレスポンスレギュレーター(転写因子)RpaBが重要な役割を果たすことが明らかになっている。今年度は、synechocystis sp.PCC6803の全ゲノム中からRpaBの標的遺伝子を探索、同定するために、genomic SELEX法を用いた解析を行った。RpaBと親和性を示すゲノムDNA断片を濃縮し、41クローンについてその塩基配列を決定したところ、14種類のゲノム断片が得られた。クローン数が一番多かったのはslr0355を含む144bpの断片であり、16クローン得られた。次に多いのは光化学系I遺伝子群の一つであるpsaABのプロモーター上流域を含む277bpの断片であり、12クローン得られた。この領域へのRpaBの結合をすでに我々は見出しており、本解析方法の妥当性が裏付けられた。今後は得られたゲノムDNA断片へのRpaBの結合を、DNAゲルシフトアッセイにより検証していく予定である。 2)psaAB遺伝子上流域に存在するHLR1配列の役割を明らかにするために、これらのHLR1配列に変異を導入したルシフェラーゼレポーターコンストラクトを作製し、変異を導入しないコンストラクトとの活性の比較を行った。その結果、3か所のHLR1配列が、2つあるpsaAB遺伝子プロモーターの転写活性化・抑制に様々に関与していることが明らかになった。複数のHLR1配列に、RpaBが異なる親和性で結合することにより、プロモーター活性が柔軟に調節されていると考えられる。
|
Research Products
(7 results)