2010 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアの強光順化における転写制御機構の解明
Project/Area Number |
20770026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
日原 由香子 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60323375)
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Keywords | シグナル伝達 / 転写制御 / シアノバクテリア / 光合成 / 光順化 |
Research Abstract |
光合成生物であるシアノバクテリアの遺伝子発現は、生育光強度の変化に応答して大きく変動する。その際に、二成分制御系のレスポンスレギュレーター(転写因子)RpaBが重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、rpaB遺伝子破壊株は致死となるため解析に用いることができない。そこで、恒常的に高活性を示すpsbA2プロモーターを用いてrpaB過剰発現株を作製したところ、転写産物レベルでの過剰発現は確認されたものの、RpaBタンパク質の蓄積は観察されなかった。これはRpaBタンパク質の大量蓄積が細胞にとって有害であるため、転写後調節による抑制が働いた結果と考えられる。次に、培地中の銅濃度に依存してプロモーター活性を制御することのできるpetE遺伝子プロモーターを用いてrpaB過剰発現株を作製した。この株でのrpaB遺伝子、およびpetE遺伝子の転写産物量を調べたところ、通常培地の銅濃度ですでに十分な発現が見られ、過剰に銅を添加してもそれ以上の誘導効果はないことが明らかになった。また、銅欠乏条件下ではプロモーター活性が完全に抑制されることを確認した。今後、銅欠乏条件で培養した過剰発現株に銅を添加し、RpaBの誘導を調べると同時に、rpaB破壊株にこの過剰発現コンストラクトを導入し、銅の添加により細胞内のRpaB存在量をコントロール可能な株を作出する予定である。DNAマイクロアレイ解析により、これらの株と野生株との遺伝子発現の差異を調べ、ゲノム上のどれだけの遺伝子がRpaBの支配下にあるのかを明らかにしていきたい。
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