2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタボロミクスとフォーカスドプロテオミクスに基づく植物硫黄同化機能ユニットの解明
Project/Area Number |
20770027
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 尚子 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (10415333)
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Keywords | メタボロミクス / フォーカスドプロテオミクス / 蛋白質間相互作用 / 硫黄代謝 |
Research Abstract |
硫黄は動植物における多量必須元素である。動物は環境中の無機硫黄を同化する生合成経路を持たないが、植物は環境中の硫酸イオンを吸収し多様な有機硫黄化合物を合成する硫黄同化系を有する。現在までの研究から、硫黄同化系を構成する各酵素反応段階は活性や局在等の性質が異なる複数の酵素アイソザイムが仲介することや、これらの酵素の発現が硫黄環境変化に応じて転写レベルで制御されていることが示されている。一方、硫黄同化系酵素の活性や安定性が他タンパク質との相互作用によって調節されている可能性が想定できるが、これら転写後制御についての知見は少ない。本研究では、植物の硫黄同化系の制御に関わる新たな機構を同定することを目的とし、硫黄同化系酵素と相互作用する因子の解析をシロイヌナズナを材料として進めた。硫黄同化の最初の反応段階である硫酸イオンの活性化を仲介するATPスルフリラーゼは4アイソザイム存在する。前年度までの遺伝子破壊系統の機能解析の結果、酵素活性全体における寄与率が最も高いことが示されたATPスルフリラーゼアイソザイムについて、免疫沈降用にエピトープタグを付加した融合タンパク質を高発現する形質転換シロイヌナズナを作出した。形質転換体では、ATPスルフリラーゼ以外の硫黄同化系酵素遺伝子のmRNA発現量や硫黄関連代謝物の含量が大きく変化していた。現在、この形質転換体からATPスルフリラーゼをエピトープタグに対する抗体を用いて免疫沈降し、ATPスルフリラーゼと相互作用するタンパク質の同定を進めている。また、細胞内への硫酸イオン取り込みに関わるトランスポーターについて、複数のトランスポーターアイソフォームどうしが物理的に相互作用することを示唆する結果を得た。
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Research Products
(6 results)