2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボロミクスとフォーカスドプロテオミクスに基づく植物硫黄同化機能ユニットの解明
Project/Area Number |
20770027
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 尚子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (10415333)
|
Keywords | メタボロミクス / フォーカスドプロテオミクス / 蛋白質間相互作用 / 硫黄代謝 |
Research Abstract |
硫黄はその化学的特性から生体内における酸化還元反応や解毒作用、蛋白質の構造維持や機能に重要な役割を果たす元素である。動物は無機硫黄を同化することができないのに対し、植物は環境中の硫酸イオンを吸収し多様な有機硫黄化合物を合成する硫黄同化系を有する。現在までの研究から、硫黄同化系を構成する各酵素反応段階は活性や局在等の特性が異なる複数の酵素アイソザイムが仲介することや、これらの酵素遺伝子の発現が硫黄環境変化に応じて転写制御されることが示されている。一方、硫黄同化系酵素の活性や安定性が他タンパク質との相互作用によって調節されている可能性が想定できるが、これら転写後制御についての知見は少ない。本研究では、硫黄同化系酵素間の相互作用とその生理学的意義を解析している。ATPスルフリラーゼとAPSキナーゼは連続した酵素反応を行う硫黄同化系酵素である。局在解析の結果、シロイヌナズナにはどちらの酵素も3つの葉緑体局在型アイソザイムと1つの細胞質局在型アイソザイムを含むことが明らかになった。酵母two-hybrid法による相互作用解析の結果、葉緑体局在型のATPスルフリラーゼアイソザイムと葉緑体局在型のAPSキナーゼアイソザイムが結合することが示された。ATPスルフリラーゼの生成物でありAPSキナーゼの基質であるアデノシン5'-ホスホ硫酸は化学的に不安定な物質であることから、2酵素の相互作用により酵素反応を効率的に行う仕組みがあることが予想される。
|