2008 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質キナーゼIBO1による細胞形態の調節機構
Project/Area Number |
20770028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本瀬 宏康 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (70342863)
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Keywords | 細胞極性 / 細胞伸長 / 細胞分裂 / タンパク質リン酸化 / 微小管機能 |
Research Abstract |
多細胞生物の形態形成過程では、細胞が位置に依存して分化し、自らの位置や方向を認識して極性を持った成長を行い、機能に適した形態を発達させることが不可欠である。本研究では、植物細胞の極性がどのように形成・維持され、どのようなメカニズムにより細胞の形態が構築されるのかを解明するため、研究代表者により単離されたシロイヌナズナのibo1変異体を手がかりとして解析を行った。 ibo1変異体の表皮細胞は、横方向への異常な伸長成長を行い、細胞の中央部に突起を形成する。本研究により、ibo1変異体がMMA関連キナーゼ(NEK)の1つであるNEK6の機能欠損変異体であることが明らかになった。ibo1変異体の詳細な解析から、NEK6は異所的な成長を抑制することにより細胞を一定の方向に伸長させる役割を果たすこと、NEK6を介した伸長制御は植物ホルモンのエチレンや光環境に依存した伸長調節経路と関連して働くことを示した。NEK6の分子機能を更に追究した結果、NEK6が微小管上で顆粒状の構造に局在してダイナミックな挙動を示すこと、タンパク質のリン酸化を介して微小管構造を調節し、細胞の伸長方向を制御していることを示した。また、NEK6は細胞伸長だけでなく、分裂組織などにおいて細胞分裂を調節することが示唆された。シロイヌナズナにはNEK6を含めて7つのNEK遺伝子が存在している。これらNEK選伝子の機能解析を行った結果、NEK同士が関連して働くこと、機能的に重複していることが明らかになった。 NEKは真核生物に広く保存されており、M期の開始と進行、中心体の分離、紡錘体の形成、鞭手や繊毛の退縮・形成に関与している。本研究により、これまで不明のままであった植物におけるNEK機能を解明するとともに、新たな発生制御プロセスとその構成因子が明らかになりつつある。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Involvement of phytosulfokine in the attenuation of stress response during the transdifferentiation of zinnia mesophyll cells into tracheary elements
Author(s)
Motose, H., Iwamoto, K., Endo, S., Demura, T., Sakagami, Y., Matsubavashi. Y.. Moore. K. L.
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Journal Title
Plant Physiology (掲載確定(出版中))
Peer Reviewed
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[Presentation] A NIMArelated protein kinase suppresses ectopic outgrowth of epidermal cells through its kinase activity and the association with microtubules2008
Author(s)
Motose, H., Tominaga, R., Wada, T., Sugiyama, M., Watanabe, Y
Organizer
19th International Conference on Arabidopsis Research
Place of Presentation
Montreal, Canada
Year and Date
20080723-27