2008 Fiscal Year Annual Research Report
光情報による陸上植物生長相転換制御メカニズムの研究
Project/Area Number |
20770030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石崎 公庸 Kyoto University, 生命科学研究科, 助教 (00452293)
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Keywords | 生殖 / 成長相転換 / 環境応答 / 陸上植物 / ゼニゴケ / フィトクロム / 分裂組織 / 光シグナル |
Research Abstract |
動くことの出来ない植物は、異なる個体間での交配を可能にするため、適切な生殖生長相移行時期を認識する精巧な制御機構を進化させてきた。中でも日長と光質は、生殖生長相への転換時期を決定する上で、重要な環境因子である。本研究は、陸上植物における、光情報による成長相調節の基本プログラムの解明を目的とし、現存する種の中で、陸上植物の祖先に極めて近いと考えられる"苔類ゼニゴケ"をモデルとし研究を行った。ゼニゴケにおいて生殖成長相移行の鍵となる環境因子については近年まで全く手がかりがなかった。近年、我々の研究室において、赤色光/遠赤色光の受容体であるフィトクロムが、ゼニゴケの生殖成長相移行に関与する鍵因子であることが示唆されていた。そこで今年度、ゼニゴケのフィトクロム遺伝子(MpPHY)の単離と機能解析を行った。まず恒常的Pfr型MpPHY遺伝子発現コンストラクトをゼニゴケに導入し、生長相転換制御を観察したところ、野生株で生殖生長相転換が見られる遠赤色光補光条件下においても生殖生長へと移行しないことが分かった。さらにMpPHY遺伝子の発現抑制のためRNAiコンストラクトを作製し、ゼニゴケに形質転換したところ、野生株では生殖生長への移行が観察されない恒常的蛍光灯照射下においても生殖生長に移行する株が得られた。以上の成果より、生理学的な知見と合わせて、Pfr型フィトクロムがゼニゴケの栄養生長から生殖生長への移行を抑制しているという、「生殖生長移行制御モデル」が確立された。
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Research Products
(10 results)