2009 Fiscal Year Annual Research Report
光屈性の分子メカニズム解明:青色光受容体フォトトロピンによる小胞輸送制御
Project/Area Number |
20770031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 友美 京都大学, 理学研究科, 助教 (10362435)
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Keywords | 植物 / 青色光受容体 / 小胞輸送 / 情報伝達 / 光屈性 |
Research Abstract |
フォトトロピン(phot)は青色光を感知し、光屈性・葉緑体定位運動・気孔開口を誘引する光受容体である。これまでに単細胞緑藻類から高等植物においてフォトトロピンの存在が報告され、様々な遺伝学的解析により同情報伝達経路に関与する因子が幾つか取得されている。しかし、相互作用因子を含めた詳細な分子機構に関しては未だ不明である。そこで、シロイヌナズナを用いてフォトトロピンを介した青色光情報伝達機構の解明に取り組んだ。先ず、フォトトロピンと相互作用する因子を酵母Two-hybrid法にて検索したところ、小胞輸送に関与する低分子量G蛋白質ARF1の取得に成功した。 本研究課題では、ARF1の役割とその分子機構解明に焦点をあてることで青色光情報伝達系の分子機構の解明を行った。先ず、ARF1ドミナント変異の過剰発現植物におけるphot応答への影響を調べたところ、phot応答がこれら変異体発現により阻害されることが明らかとなった。さらに分子レベルでは、photによるARF1の制御機構を示す重要な証拠を得ることに成功した。これらの結果から、ARF1がphot情報伝達機構のシグナル因子であると示唆された。 今後は、シロイヌナズナにおけるARF1を介した青色光応答の解析を詳細に行うことによって、小胞輸送の外環境による制御機構を解析する。これにより、細胞内の恒常性維持機構とストレス応答性情報伝達機構のクロストークについても明らかにできると考えている。
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Research Products
(3 results)