2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞におけるオルガネラの流動とポジショニングの分子機構の解明
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20770032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 晴子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 研究員(科学研究) (90402776)
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Keywords | 植物生理 / オルガネラ |
Research Abstract |
植物の細胞内は非常にダイナミックな空間であり, 原形質流動として知られるオルガネラ運動が観察される. 原形質流動の駆動力はアクチン・ミオシン系であると考えられているが, 具体的な分子の単離・同定はほとんど進んでいない. 申請者は小胞体の絶え間ない流動に着目し, 原形質流動において小胞体の流動が重要な役割を果たすと考えた. そこで本年度は, 小胞体流動の分子機構解明を目指し, 下記の新規知見を得た. 1) 小胞体流動に関与るミオシンの解析 原形質流動には, 植物独自のクラスであるミオシンXIが関与すると考えられている. シロイヌナズナは13種類のミオシンXIをコードしており, これらの欠損変異体を作製して小胞体流動に関わるミオシンを逆遺伝学的に探索した. その結果, ひとつのアイソフォームの変異体で小胞体流動が著しく抑制されていることを見出した. また, スクロース密度勾配遠心によってオルガネラを分画したところ, このアイソフォームは小胞体画分で検出された. 従って, このアイソフォームが小胞体に局在して流動を担うと考えられた. 原形質流動に関わるオルガネラと具体的なミオシンの対応付けは, 初めての報告である. 2) ミオシンと相互作用する小胞体因子の解析 ミオシンはC末端ドメインでオルガネラと結合すると考えられているが,植物においてミオシンと相互作用すうオルガネラ側の因子は未知である. そこでミオシンと相互作用する小胞体因子を探索するために, 蛍光タンンパク質とミオシンC末端ドメインの融合タンパク質を発現する形質転換植物を作製し, GFP抗体を用いた免疫沈降を行った. 結合画分の質量分析により多数のタンパク質が同定され, 公開データベースを利用して小胞体膜に局在すると予測されるタンパク質を絞り込んだ. 現在, 候補因子の欠損変異体を確立し, 小胞体流動の観察を進めている.
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