2008 Fiscal Year Annual Research Report
分裂組織の機能を維持するシグナル因子と細胞周期制御の解析
Project/Area Number |
20770033
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
奥島 葉子 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (00432592)
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Keywords | 植物 / シロイヌナズナ / 細胞分裂 / 細胞周期 / 分裂組織 |
Research Abstract |
1. シロヌナズナ培養細胞系を用いた幹細胞誘導化因子の探索 今年度はWUSの下流で幹細胞化を促進するような生理活性物質(幹細胞化誘導因子)を含むエフェクターの調製法の検討を行った。試みの一つとして、WUSをエストロゲンの添加依存的に強制発現させるコンストラクトを作成し、シロイヌナズナ培養細胞株に導入した。また、幹細胞化誘導因子の生理活性のレポーターとして用いるpCLV3 :: GUSを導入した培養細胞系統も作成し、現在液体培養系の確立を行っている。 2. サイトカイニンシグナルによる細胞分裂および分化の制御機構の解析 分裂組織の維持にはサイトカイニンが重要な働きを持つことが報告されている。B型ARRであるARR1はサイトカイニンシグナルの初期応答を制御する転写活性化因子として機能する。レシーバードメインを欠くARR1(ARR1ΔDDK)にGRを付加した融合タンパク質を過剰発現させた35S :: ARRIΔDDK-GR植物体では、DEX処理により恒常的なサイトカイニン応答が引き起こされることが報告されている。この35S::ARR1ΔDDK-GR植物体では、根端における分裂領域がDEX処理依存的に縮小し、根の伸長が抑制されることを確認した。このことから、サイトカイニンによる根端の分裂領域の制御にはARR1の下流に存在する因子が関与することが示唆された。そこで、ARR1の下流で根端分裂組織の領域決定に関与する新規因子の探索を行うため、35S::ARR1ΔDDK-GR形質転換体に対して変異原処理を行い、DEX処理を行っても根の伸長抑制が起こらないサプレッサー変異体の単離を試みている。現在、M2世代の種子を回収して変異体の探索を始めたところであるが、これまでにサプレッサー変異体の候補をいくつか単離した。
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