2009 Fiscal Year Annual Research Report
分裂組織の機能を維持するシグナル因子と細胞周期制御の解析
Project/Area Number |
20770033
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
奥島 葉子 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (00432592)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 細胞分裂 / 細胞周期 / 分裂組織 |
Research Abstract |
高等植物の分裂組織の維持を司る因子群の下流には、細胞周期因子の制御を通して幹細胞の分裂活性を厳密に調節する機構があると考えられる。本研究では、幹細胞の維持や形成を直接誘導するシグナル分子を同定し、さらにその分子を介した幹細胞の細胞分裂制御機構の解析を行うことで、分裂組織の維持機構を細胞周期制御の側面から理解することを目的としている。今年度は、1) シロヌナズナ培養細胞系を用いた幹細胞誘導化因子の探索、2) サイトカイニンシグナルによる細胞分裂および分化の制御機構の解析、3)分裂組織の維持に関わる細胞周期因子の探索を行った。1)に関しては、昨年度、WUSをエストロゲンの添加依存的に強制発現させるコンストラクトを導入したシロイヌナズナ培養細胞株を作成した。作成した培養細胞株100系統以上について、エストロゲン処理に応答したWUSの発現量の変化をRT-PCRにより調べたが、誘導的にWUSを高発現する系統を単離することはできなかった。さらにデキサメタゾン誘導系など別の誘導系ベクターを用いた強制発現も試みたが、いずれの方法においても誘導的にWUSを高発現する細胞株は得ることはできなかった。2)に関しては昨年度に引き続き、35S::ARR1ΔDDK-GR形質転換体のサプレッサー変異体の候補の探索を進めた。3)については、シロイヌナズナに7個存在するCDKインヒビターのうち、茎頂および根端の分裂組織で発現し、比較的相同性が高い因子群、KRP3,KRP4およびKRP5に注目し、それら全ての機能が欠損した三重変異体の単離を行った。現在、この三重変異体の表現型の詳細な解析を進めている。
|