2008 Fiscal Year Annual Research Report
花粉のオルガネラ可視化系を用いた新しいオルガネラ研究法の開発
Project/Area Number |
20770036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松島 良 Okayama University, 資源生物科学研究所, 助教 (80403476)
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Keywords | 花粉 / ミトコンドリア / 蛍光蛋白質 / 可視化 / オルガネラ / シロイヌナズナ / 受精 / ライブイメージング |
Research Abstract |
本研究は、植物の半数体細胞である花粉におけるオルガネラ可視化系を用いて (1) 従来単離することが困難であったオルガネラ関連の新奇変異体の単離法の構築と (2) 従来観察が不可能であった受精時における花粉オルガネラのライブイメージング解析を行うことを目的として行っている。初年度である今年度は、 (1) 半数体細胞である花粉におけるオルガネラ可視化形質転換体を用いることで、ヘテロ接合体においても変異の表現型が観察できる系を構築した。その結果、ホモ接合体だと致死になるミトコンドリア蛋白質輸送に関わる新奇の変異体を順遺伝学的に単離することに成功した。この結果は上記の系の有用性を実証しており、スクリーニング規模の拡大によりオルガネラ関連の新奇変異体のさらなる獲得が期待できる。 (2) 花粉の精細胞特異的に発現する遺伝子のプロモーターを利用することにより、シロイヌナズナの精細胞のミトコンドリアを可視化できることSC-mtGFP植物体を作出した。SC-mtGFPの花粉をライブイメージング解析することにより、シロイヌナズナの精細胞には約8個のミトコンドリアが含まれており、これらは受精時に卵細胞ならびに中央細胞に伝達されることを証明した。また、接合体に侵入した精細胞由来のミトコンドリアは最終的に分解される可能性も示した。植物の接合体における雄由来のミトコンドリアの積極的分解は、ミトコンドリアの母性遺伝現象(母親のみから遺伝すること)を保証する機構として機能している可能性があり、新知見である。 発表論文Plant and Cell Physiology 49 : 1074-1083, 2008(Edito-in-Chiefs choice)
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