2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトール3キナーゼを介した膜動態と生理機能解析
Project/Area Number |
20770039
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
藤木 友紀 National Institute for Basic Biology, 分子細胞生物学研究部門, 特別協力研究員 (00414011)
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Keywords | シロイヌナズナ / オートファジー / 小胞輸送 / PI3キナーゼ / ボスファチジルイノシトール3リン脂 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)は細胞増殖やエンドサイトーシス、シグナル伝達など多様な生命現象に関与しているが、これまで高等植物ではその生理的意義の理解は遅れていた。酵母のオートファジー遺伝子の一つATG6はPI3Kと複合体を構成し、その機能調節に関わっていることがよく知られている。本研究は植物のATG6ホモログに着目し、ATG6-PI3K複合体が担う植物独自の高次機能を明らかにすることを目的とする。本年度はシロイヌナズナAtATG6の破壊株を単離し、野生株との戻し交雑による純化作業を行ったのち、詳細な表現型解析に着手した。atatg6変異体植物を栄養飢餓条件下で培養しても液胞内にオートファジックボディは蓄積しなかった。また、早期老化や過敏感細胞死の促進など、典型的なオートファジー変異体としての表現型を示した。atatg6変異体の老化促進は老化の分子マーカー遺伝子(DIN2, SAG12)の発現上昇によっても裏付けられた。さらに、オートファジー以外にどのような影響が出ているかを調べるため、マイクロアレイ解析および電子顕微鏡を用いた細胞内微細構造の形態観察の準備を進めている。一方、酵母ツーハイブリッドスクリーニングを用いて、AtAtg6と相互作用する新規因子の探索も開始した。まだ候補遺伝子の単離には至っていないが、次年度もスクリーニングを継続し、PI3K複合体としての多様な機能を使い分ける分子基盤を明らかにする。
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