2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトール3キナーゼを介した膜動態と生理機能解析
Project/Area Number |
20770039
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
藤木 友紀 Saitama University, 理工学研究科, 助教 (00414011)
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Keywords | シロイヌナズナ / オートファジー / 小胞輸送 / PI3キナーゼ / ホスファチジルイノシトール3リン酸 / 液胞 |
Research Abstract |
Atg6/Vps30はVps34とホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)複合体を構成して、オートファジーや液胞タンパク質輸送など多様な膜動態を担っている。植物においてもPI3K阻害剤によりエンドサイトーシスやオートファジーが影響を受ける例が知られている。しかし、シロイヌナズナのAtATG6、AtVPS34遺伝子欠損株はいずれも雄性不稔となり、PI3Kのホモ変異体を用いた逆遺伝学による解析は困難であった。本研究ではatatg6の雄性不稔を回避することで、PI3K複合体の遺伝子破壊株を植物個体として得る系の開発に成功した。得られたatatg6変異体はオートファジー能を欠損し、過敏感細胞死や老化促進などオートファジー変異体(atatg)としての特徴を示した。ホスファチジルイノシトール3リン酸プローブであるYFP-2xFYVEの細胞内局在を観察したところ、2xFYVEの液胞膜への蓄積がatatg6変異体では失われていた。さらに、他のatatg6変異体と異なり、atatg6植物には著しい生育阻害など多面的な表現型が見られた。本年度実施したマイクロアレイ解析の結果、様々な遺伝子発現がatatg6変異体で誘導されることも明らかとなった。これらの結果より、植物のAtg6-PI3K複合体が花粉発芽やオートファジー以外に様々な生理機能を持つことが分子レベルでも示された。また、植物のAtAtg6結合因子として同定した遺伝子の欠損株でも同様の生育遅延や遺伝子発現の変動を確認することができた。
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