2008 Fiscal Year Annual Research Report
道管分化マスター因子が制御する下流遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
20770041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 雅利 The Institute of Physical and Chemical Research, 形態制御研究チーム, 研究員 (20373376)
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Keywords | 植物 / バイオマス / 遺伝子 / 発現制御 / 転写因子 / NACドメインタンパク質 |
Research Abstract |
私たちは、これまでに道管細胞への分化を決定するNACドメインタンパク質をコードするVND6 (Vasucular-Related NAC-Domain6)、およびVND7が、道管細胞への分化を決定するマスター因子であることを明らかにした。そこで、本研究では、これらのマスター因子が直接発現を制御する標的遺伝子を同定し、その制御機構を分子レベルで明らかにすることを目的として研究を行っている。本年度はまず、VND6、VND7にグルココルチコイドレセプター(GR)を融合させた過剰発現俸を作成し、道管細胞への分化誘導活性が高く、さらにDEX処理により分化誘導が厳密にコントロールされるT3世代シングルコピーホモ挿入ラインを確立した。これらの形質転換体ラインについて、誘導材であるDEXと同時にタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドで処理した後、RNAを抽出しマイクロアレイ解析を行った。その結果、約50の直接発現が制御されると考えられる候補遺伝子を同定した。それらの中には、道管分化過程で発現が誘導される遺伝子が多数含まれており、本実験系が正しく機能していると期待された。これらの候補遺伝子についてプロモーター解析を行ったところ、多くの遺伝子は道管特異的に発現していることが確認された。現在、特に発現が強く誘導された遺伝子については、T-DNA挿入体を取り寄せており、遺伝子破壊株の表現型を調べる予定である。また、候補遺伝子の一つである、XCP1遺伝子については、トランジェントアッセイによりVND7による発現誘導に必要な領域を調べており、現在までに100bpにまで絞り込んだ。さらに、この絞り込んだプロモーター領域上にVND7タンパク質が実際に結合できることをゲルシフトアッセイ法により明らかにした。
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