2008 Fiscal Year Annual Research Report
発ガン予防グルコシノレート : その生合成と分解制御の分子機構
Project/Area Number |
20770044
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
丸山 明子 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 講師 (70342855)
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Keywords | 植物 / シグナル伝達 / 硫黄 / グルコシノレート / 機能未知遺伝子 |
Research Abstract |
アブラナ科植物に多く含まれる含硫二次代謝物グルコシノレート(GSL)は、病害虫に対する忌避物質として知られ、また、発ガン抑制効果を有する。近年、GSL生合成酵素群の単離、同定が相次ぎ、生合成経路の全体像が明らかになりつつあるが、植物体内におけるGSL代謝の制御については、ほとんど知見がない。SLIM1は、環境中の硫黄欠乏(-S)に応答して、硫黄同化及びGSL分解を正に、メチオニン由来GSL(mGSL)生合成を負に制御する転写因子である。申請者は、SLIM1の制御下にある遺伝子群を対象とした逆遺伝学的解析から、mGSL生合成の抑制因子Xを見出した。本研究では、植物体内のGSL代謝制御機構の解明を目指し、XによるmGSL生合成抑制機構の解析及び新規GSL分解酵素の単離・同定を行う。得られる知見は、病虫害抵抗性や発ガン抑制効果の高い農作物の作出へ向けた分子基盤となる。 1)XによるmGSL生合成抑制機構の解析…これまでに、Xの遺伝子欠損変異株ではmGSL量が増加することを見出している。平成20年度にはXの過剰発現株を作製し、この植物においてはmGSL量が減少する事を見出した。即ち、Xを用いる事により植物体内のmGSL量を任意に調節できる事が明らかとなった。一方で、Xが機能未知遺伝子であるため、XによるmGSL生合成抑制の分子機構は不明である。来年度以降は、抑制因子X自体が転写抑制活性を持つ可能性を、一過的転写活性化実験により検討する。加えて、Xの組織・細胞内局在を解析するための、プロモーターGFP植物、プロモーターコーディング領域(CDS)-GFP植物を作製した。 2)GSL分解酵素の機能解析……SLIM1の制御下にある機能未同定のミロシナーゼ様遺伝子2種について、cDNAを単離した。また、遺伝子破壊株、過剰発現株を取得した。今後、硫黄十分/欠乏時の成育、GSL量、他の硫黄代謝物(硫酸イオン、チオール)量、を解析する。組織局在解析用のプロモーター-GFP植物を作製した。
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