2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミンを指標とした、葉緑体とミトコンドリアの分裂装置の起源に関する解析
Project/Area Number |
20770050
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮城島 進也 The Institute of Physical and Chemical Research, 宮城島独立主幹研究ユニット, 独立主幹研究員 (00443036)
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Keywords | 細胞内共生 / 細胞質分裂 / ダイナミン / 葉緑体分裂 |
Research Abstract |
葉緑体はシアノバクテリアの細胞内共生体を起源としており、分裂によって増殖する。これまでの研究により、葉緑体の分裂装置が、FtsZリングを中心とする共生シアノバクテリアの細胞分裂装置の一部と、色素体分裂リング(PDリング)、ダイナミンリングなどの宿主細胞によって加えられた装置の複合体であることを示してきた。 ダイナミンファミリーに属するタンパク質は、それぞれが真核細胞の異なるオルガネラ、膜系の分断、融合に関与することが知られている。本研究課題の目的は、葉緑体分裂に関与するダイナミンがどのようなダイナミンタンパク質から進化したのか、またその結果に基づいて、真核型の葉緑体分裂機構がどのようにして獲得されたかを明らかにすることである。本年度の研究により以下のことが明らかとなった。分子系統解析により、葉緑体分裂型ダイナミンと姉妹群を形成する機能未知のダイナミン群が、植物、藻類に加え、葉緑体を持たないアメーバ類、エクスカバータ類に見つかった。これら新規ダイナミンタンパク質の局在と機能を、シロイヌナズナ、細脂性粘菌において調べた結果、どちらのタンパク質も細胞分裂の分裂溝、細胞板に局在し、細胞質分裂に関与することがわかった。これらの結果、葉緑体分裂ダイナミンは、真核細胞の細胞質分裂に関与するダイナミンから派生して生じたと推測され、葉緑体の分裂装置が原核・真核の細胞質分裂の複合機構であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)