2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒非回折レーザービームを用いた低倍率・超広視野2光子蛍光顕微鏡の開発
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20770051
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
深野 天 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞機能探索技術開発チーム, 研究員 (80373364)
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Keywords | 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、低倍率・広い視野を観察可能とする2光手壷光顕微鏡を開発することである。前年度の基礎実験では、フェムト秒レーザー(スペクトラルフィジクス社Tsunami、中心波長800nm、パルス幅120fs)光を、円錐形状の特殊なレンズ(アキシコン)を通して蛍光物質(クマリン誘導体等)を分散固定した高分子樹脂試料に照射することにより、試料内で光軸に沿った直線状に伸びる2光子蛍光を発生させることができた。しかし、蛍光が極めて弱いという問題点があった。この原因として、1、サンプル内で形成されるビームの波面が乱れているためビームが十分に収束できていない、2、アキシコン等の光学素子をレーザー光が通ることによりレーザー光のパルス幅が伸びてピークパワーが低下している、と考えられた。 本年度は、これらの問題点の解決を試みた。まず、(1)に関しては、シャックハルトマン波面センサーを導入して波面をモニターし、その結果をもとに、液晶空間光変調器で乱れた波面を補正した。次に、(2)に関しては、レーザーのパルス幅を測定するためのオートコリレーターを自作し、試料内で発生する2光子蛍光を利用してパルス幅を測定した。この結果、試料内ではパルス幅が500fs以上まで伸びてしまうことがわかった。これを補正するためにプリズムペアを用いたプリチャープを自作し、分散を補正した結果、試料内において150fsまで補正でき、蛍光は25倍程度まで改善できた。並進ステージを用いて、直線状のビームを走査する装置を作成し、実際の生物試料として緑色蛍光タンパク質を発現させたショウジョウバエを用いて蛍光観察を行った。この結果、低倍率の対物レンズ(10倍)で2光子蛍光断層像が得られたが、1画像を得るための露光時間が10秒近くかかってしまい、露光時間の短縮が必須という課題が残った。
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