2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770060
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大石 勝隆 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 生物機能工学研究部門, 主任研究員 (50338688)
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Keywords | 体内時計 / PPARα / ベザフィブレート / FGF21 / サーカディアンリズム |
Research Abstract |
これまで我々は、高脂血症治療薬であり、PPARα受容体のアゴニストであるベザフィブレートが、体内時計に作用して、活動位相を前進させることや、体温や脳波にも影響することを見出してきた。当該研究では、フィブレートの体内時計に対する作用機構について明らかにすることを目的としている。 2007年になって海外のグループから、肝臓で特異的に発現しているFGF21が、マウスにおいて低体温を誘導する可能性が発表された。我々は、ベザフィブレートを投与した際の、時刻依存的な低体温のパターンと、FGF21を過剰に発現させた際の低体温のパターンが類似していることから、その共通メカニズムの存在を仮定した。我々は、ベザフィブレートの慢性投与が、肝臓でのFGF21の発現を、時刻依存的に著しく誘導することを見出した。ベザフィブレートの腹腔内投与実験により、時刻依存的なFGF21発現の誘導は、PPARαのベザフィブレートに対する感受性のリズムに起因している可能性が考えられた。さらに、PPARαのノックアウトマウスを用いた実験により、ベザフィブレートが投与による肝臓でのFGF21の発現誘導が、PPARα依存的であることを示した。FGF21の時刻依存的な発現誘導は、フィブレート投与による、時刻依存的な低体温のパターンと一致しており、「ベザフィブレート→PPARαの活性化→FGF21の発現誘導」というメカニズムで時刻依存的な低体温や体内時計の位相前進が誘導されている可能性が考えられる。
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