2008 Fiscal Year Annual Research Report
日華植物区系における固有科アオキ科の種分化と系統分類
Project/Area Number |
20770063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東馬 哲雄 (大井 哲雄) The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (10376527)
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Keywords | 日華植物区系 / アオキ科 / アオキ属 / 系統分類 / 種分化 / 植物地理 / 染色体倍数化 |
Research Abstract |
本研究では、植物多様性における日華植物区系の重要性を理解するために、日華植物区系固有科であるアオキ科アオキ属(Aucuba)を対象とし、「染色体変化(倍数化・ゲノムサイズ変化)の種分化への影響」・「日本列島周辺域でのアオキ(A.japonica)の種分化の進化的歴史」を明らかにし、「属内の分類学的再検討」を行うことを目的としている。本年度は、まず分類学的再検討のため、中国科学院植物北京研究所・英国王立キュー植物園・英国王立自然史博物館・英国王立エジンバラ植物園・浙江大学・中国科学院昆明植物研究所の各標本室において、タイプ標本を含めた標本調査を行い、タイプ標本の発掘・確認、実体不明種の問題点整理、中国国内調査候補地の整理を行った。また本研究を行う上で必須である中国国内での野外調査について、浙江大学のC.X.Fu教授、昆明植物研究所との協力体制を構築するとともに、標本調査をもとに浙江省西南部、雲南省南部での野外調査を行い新種候補や実体不明種の試料採集を行った。採集した試料については、これまでの研究を踏まえて葉緑体DNA・核DNAの複数領域を用いた系統学的解析、ゲノムサイズ比較による染色体解析を随時行い、異質倍数化による種分化が起きていることに加え、植物地理・系統分類(新種記載の必要性、亜属の新設や学名組み換の必要性)についての重要な知見を得ることができた。来年度以降の更なる試料追加を踏まえて最終的な結論を出す必要性がある。また異質倍数化の起源を探るための新規遺伝子領域については最適な候補領域を絞れておらず、引き続きスクリーニング作業を継続する必要がある。アオキ種内のRubiscoの適応的分化の検証のため、葉緑体にある光合成関連遺伝子のスクリーニングも開始し、現在解析進行中である.
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