2009 Fiscal Year Annual Research Report
日華植物区系における固有科アオキ科の種分化と系統分類
Project/Area Number |
20770063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東馬 哲雄 (大井 哲雄) The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (10376527)
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Keywords | 日華植物区系 / アオキ科 / アオキ属 / 系統分類 / 種分化 / 植物地理 / 染色体倍数化 |
Research Abstract |
本研究では、植物多様性における日華植物区系の重要性を理解するために、日華植物区系固有科であるアオキ科アオキ属(Aucuba)を対象とし、「染色体変化(倍数化・ゲノムサイズ変化)の種分化への影響」・「日本列島周辺域でのアオキ(A.japonica)の種分化の進化的歴史」を明らかにし、「属内の分類学的再検討」を行うことを目的としている。本年度は、研究遂行上で必須である試料採取のための国外の調査を3回行った。4月には台湾中部鳳凰山で記載されたA.chinensis var.fongfangshanensisの調査(単独調査)を行った他、中国中央部に焦点を充てた野外調査として8月にC.X.Fu教授(浙江大学)の協力による浙江省西部・湖北省西部での調査、3月にDr.Hanghui Kon(中国科学院華南植物園)の協力による広東省北部・湖南省南部での調査を行い、内貴章世博士(大阪市立自史博物館)の調査支援も得て、従来はA.chinensisやA.himalaicaとして誤認識されてきた実体不明種の試料を各地で採集した。採集した試料については昨年と同様に葉緑体DNA・核DNAの複数領域を用いた系統学的解析、ゲノムイズ比較による染色体解析を随時行うことにより、属内分類体の再検討のための情報を得た他、昨年までに明らかになっていた以外にも異質倍数化が起きていること、またそれらの起源(推定親種)についても新たな知見を得ることができた。さらに異質倍数化の起源をより詳細に探るためにマーカー領域として必要な新規遺伝子領域については、最適な領域としてrpb2遺伝子に的を絞ることができたことから、現在随時解析を進行中である。
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