2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国大陸のサンショウウオ科およびイモリ科の種多様性の再評価と系統進化
Project/Area Number |
20770066
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 完途 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (10335292)
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Keywords | フトイモリ属 / ムハンフトイモリ / 広西チワン族自治区 / 地理的変異 / 未記載種 |
Research Abstract |
今年度の調査では、5月に四川大地震が起こった為に、四川省や貴州省の山地での調査は断念して、震源地から遠い浙江省、江西省、広西チワン族自治区、海南省などの東部おにび南部で野外調査および現地学会での発表参加を行った。野外調査の結果、サンショウウオ属、フトイモリ族、イモリ属、イボイモリ属、コブイモリ属などの多くの標本を採集することができた。今年度特に力を入れたのはフトイモリ属Pachytritonであったので、本属について以下に得られた知見について報告する。 フトイモリ属は中国固有イモリで、3種を含む。ムハンフトイモリP. Iabiatusはそれらの中で最も広域に分布しており、体色や体各部の比率に大きな地理的変異が存在する。本種の種内変異の実態を明らかにするため、本年度は浙江省、江西省、広西チワン族自治区で野外調査を行って標本を収集すると同時に、中国科学院成都生物研究所などの所蔵標本の調査も行った。本年度までの解析結果から、ムハンフトイモリには形態的に分けられる二群が認められ、基準産地の広西チワン族自治区大謡山にはそれら二群が同所的に見られる事が明らかになった。ドイツのフンボルト大学自然史博物館所蔵の基準標本を調査した結果、その内の一群が真のムハンフトイモリであることを特定できた。よって、残りの群は未記載種の可能性が高い。しかし、この残りの群は、北は浙江省から南は広西チワン族自治区まで広域に分布しているために地理的な変異も大きく、更に別種と思われる個体が同所的に見られる地域があるなど、多くの興味深い知見が得られている。本種の分類学的な整理には、更に多くの地点からの材料採集を行い形態比較、詳細な遺伝的解析の両面から検討する必要がある。次年度以降は、他のサンショウウオ科おにびイモリ科の採集・研究計画と調整をして、ムハンフトイモリの分類学的研究についてもまとめて成果を出す予定である。
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Research Products
(2 results)