2008 Fiscal Year Annual Research Report
水生植物コウホネ属における生育形および異形葉形成の進化的背景
Project/Area Number |
20770074
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
志賀 隆 Osaka Museum of Natural History, 学芸課, 学芸員 (60435881)
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Keywords | 進化 / 植物 / 水生生物 / x / 異形葉 |
Research Abstract |
本研究の目的は、種間において交雑させることが可能であるスイレン科コウホネ属を用いて、葉形、生育形、異形葉形成に関する種間の形質差がどのような機構で進化してきたのかを明らかにすることである。研究初年度は以下の内容を実施した。 1. 形態形質調査 コウホネ(2集団)、オグラコウホネ(2集団)、サイジョウコウホネ(コウホネ×オグラコウホネ)(1集団)、シモツケコウホネ(3集団)、ナガレコウホネ(3集団)について、集団ごとに10-30株をサンプリングし、コウホネ属の分類に重要とされている形質の他、葉や茎の形態学的な特徴、根茎の成長様式などを調査し、これらの種間の差を明らかにした。 2. 生態調査 前述の野外集団において2ヵ月に1回、環境データと共に、葉長や根茎の伸長など、フェノロジー調査を行った。 また、実験圃場において乾出試験を行い、乾燥に対する耐性を比較した。その結果、コウホネやサイジョウコウホネ、ナガレコウホネに比べてオグラコウホネやシモツケコウホネは乾燥に弱いことが明らかになった。 3. 交配実験および発芽試験 F1作出と共に、雑種形成の方向性や生殖隔離の有無を直接検証するために交配実験を行った(交配処理 : (1)コウホネ×オグラコウホネ、(2)オグラコウホネ×シモツケコウホネ、(3)シモツケコウホネ×コウホネ、(4)コントロールとして同種間の掛け合わせ)。結果はどの種間の組み合わせでも結実が確認され、発芽試験においてもどの雑種種子も発芽することが明らかになった。
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