2009 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体の信号伝達機構を原子レベルで理解する
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20770076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 昌喜 Ibaraki University, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10359549)
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Keywords | ダイシハーベイン / イオンチャンネル / グルタミン酸受容 / 薬剤設計 / 生体機能分子 / X線結晶構造解析 / アイソフォーム / 選択性 |
Research Abstract |
イオンチャンネル型グルタミン酸受容体(iGluR)は、脳の中枢神経系に存在し、早い興奮性の神経伝達を担っている膜蛋白質である。この蛋白質はグルタミン酸を受容することで、自身で形成するイオンチャンネルを開口し、Na^+, K^+などの陽イオンを透過する。iGluRは神経回路の形成や、記憶・学習の基盤となるシナプス可塑性に関与していることが知られている。 今年度は、カイニン酸型iGluRに属するアイソフォームのうちGluK2リガンド結合部位を発現・単離精製し、それと親和性の高い生体機能分子である、ダイシハーベイン(DH)・ネオダイシハーベインA(NDH)といった二種類の化合物との複合体を結晶化し、X線結晶構造解析を行った。 前年度までに種々のDH構造類縁体とGluK1との複合体の構造を明らかにしてきたが、それらの構造と比べ、GluK2に結合した二種の化合物は結合位置・向き共にわずかに変化していた。この結合様式の違いは、結合部位に存在する数残基のアミノ酸の違いによるものである。具体的には、GluK2ではAsn690が立体障害になっていることと、Ala487には水素結合可能な側鎖がないため、その部位にThrを持っているGluK2とはDHのグルタミン酸骨格側の結合が異なっており、結果として、二環状構造側の結合様式も変化していた。それらの原子レベルの構造情報を利用して、さらに結合能が高くなるような新規化合物の構造を提案することができた。
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Research Products
(8 results)