2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 拓宏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (70401164)
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Keywords | タンパク質 / 核酸 / tRNA / 修飾塩基 / X線結晶構造解析 / 立体構造 |
Research Abstract |
本研究課題において着目しているTRM5とTYW1のうち、昨年度にTRM5と基質tRNA、メチル基供与体AdoMetとの複合体をX線結晶構造解析により明らかにしていた。TRM5はD1とD2-D3という2つのドメインに分かれて基質tRNAを認識しており、ドメイン間のリンカーは2次構造をもっておらず、比較的フレキシブルであった。D2-D3ドメインは触媒ドメインであり、D2-D3のみでメチル基導入部位であるG37位を正しく認識し、メチル基を導入しうることが明らかになった。D1はtRNAのL字の肩の部分、すなわちTループとDループの会合部位の形状を認識していた。D1のtRNA認識部位の変異体およびtRNAの変異体を用いてメチル基転移活性測定を行い、酵素の至適温度においてD1が活性に不可欠であることが示された。このようなTRM5の活性化メカニズムはtRNAの一連の修飾反応が一定の制御をもってなされていることを示している。すなわち、tRNAのL字型が安定化するために必要な修飾が初めに導入され、その完了をTRM5のD1が認識したときにG37のメチル化が導入されるといった機構である。G37のメチル化はアミノアシル化の活性化やリボソームの翻訳反応の活性化を促すため、TRM5はtRNA成熟化のクオリティチェックをしているともいえる。本年度はこれらの結果を投稿論文にまとめて発表した。この系に加えてTYW1を含む複合体の結晶化を行うことはできなかった。
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