2008 Fiscal Year Annual Research Report
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20770078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 敦史 The University of Tokyo, 放射光連携研究機構, 助教 (20463903)
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Keywords | 蛋白質 / 構造生物学 |
Research Abstract |
本年度は、酵母AsnalATPaseの単体及びADPとの複合体の結晶構造を決定した。酵母Asna1は二量体を形成しており、二量体の相互作用界面に、一つの亜鉛イオンが結合していた。ICP-MSを用いた亜鉛イオンの定量を行ったところ、Asna1:亜鉛=2:1の比で結合していることが分かり、結晶構造と完全に一致した。亜鉛は保存されたシステイン残基からなるモチーフで結合されており、このシステイン残基への変異により、亜鉛イオンが結合しなくなること、及び酵母Asna1の二量体形成が阻害されることが分かった。 次に、酵母Asna1とTA proteinとの相互作用を簡便に調べるために、大腸菌を用いた共発現を行ったところ、両タンパク質が安定な複合体として精製されることが分かった。この系を用いて、酵母Asna1のTA proteinに対する相互作用領域を調べたところ、2本の長いヘリックスからなる領域が相互作用領域として同定された。 酵母Asna1の立体構造は、そのホモログも含めて世界に先駆けての結果である。亜鉛イオンの二量体形成への役割も今回初めて明らかになったことである。また、Asna1とTA proteinとの複合体の形成と精製は以前までは困難な実験であったが、我々が新たに開発した共発現を用いた系は、安定な複合体が簡便に得られる系として今後の発展が期待される。この系と得られた立体構造を併せることにより、TA proteinとの相互作用領域を初めて明らかにした。現在、これらの結果をまとめて論文投稿の準備中である。
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