2009 Fiscal Year Annual Research Report
光照射装置を組み込んだ固体NMRによる構造解析の研究
Project/Area Number |
20770080
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川村 出 Yokohama National University, 工学研究院, 研究教員 (20452047)
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Keywords | 固体NMR / 膜タンパク質 / 構造生命科学 / レチナール / バクテリオロドプシン / センサリーロドプシン |
Research Abstract |
本研究では固体NMR測定中に光照射を行い、光活性化させた光受容膜タンパク質の構造解析を行うことが目的である。光照射-固体NMR測定が実現できれば、光受容膜タンパク質の発色団であるレチナールの光異性化と同期したNMR信号が観測でき、詳細な構造変化の情報が獲得できる。本年度はシステムの構築を行い、脂質二重膜環境中に存在するセンサリーロドプシンIIについて高い割合でレチナールの光異性化による信号変化を観測し、光照射システムの構築に成功した。信号のモニターには^<13>C標識レチナールを導入したセンサリーロドプシンで行い、直接的に光異性化情報を獲得した。特に、界面活性剤中で得られる光異性化の化学シフト値が異なることは細胞膜中での活性構造の重要性を示している。また、レチナール近傍の1アミノ酸残基-変異体を用いても光異性化による化学シフト値が異なることがわかったため、レチナール光異性化に伴うタンパク質の構造変化を観測することが今後重要となってくる。また、レチナール異性化をコントロールする手法に試料にかける圧力を利用することができることも明らかにしている。バクテリオロドプシンの暗順応状態ではAll-trans型と13-cis, 15-syn型が1:1の熱平衡状熊で存在し、比較的小さい圧力を印加することでこの平衡状態を変化させ、13-cis, 15-synの配座の割合を高めることに成功した。このバクテリオロドプシンの異性化状態に対応した特定部位のタンパク質構造変化が観測されたため、タンパク質の局所的な領域とカップルして異性化が起きていることが判明した。
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Research Products
(8 results)