2009 Fiscal Year Annual Research Report
構造情報を用いた手法で明らかにするリーリンシグナルとエンドサイトーシスの関係
Project/Area Number |
20770084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 典久 Osaka University, 蛋白質研究所, 助教 (90467514)
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Keywords | リーリン / 受容体 / エンドサイトーシス / 脳・神経 / 細胞外タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では,脳の層構造形成を司る細胞外蛋白質リーリンとその受容体を研究対象に,リーリンのエンドサイトーシス過程と細胞に取り込まれて以降の挙動を追跡することにより,リーリンが細胞表面で受容体へと結合して以降に発揮する機能の解明を目指す.具体的には,(1)リーリンの受容体によるエンドサイトーシス過程をはじめとする細胞内動態の追跡,(2)リガンド/受容体複合体の解離の生化学的解析とそれに関わるアミノ酸残基の同定をリーリンと受容体の双方について行う.さらに,(3)立体構造情報に基づいて,機能を改変したリーリンや受容体を設計し,リーリンとその受容体の細胞内での動態を人為的に制御することをも目指す. 本年度も昨年度から継続して,組換えタンパク質を用いた,リーリンの受容体からの解離過程の生化学的解析に取り組んだ.昨年度に,エンドソームのpHに相当する酸性pH条件下で,リーリンの受容体から解離が促進することを見出していた.今回,リーリン受容体組換えタンパク質にアミノ酸残基特異的な化学修飾を施し,リーリン結合様式を解析した.その結果,リーリン受容体のリジン残基が,におけるリーリンの解離に関与していることが示唆された.さらに,リーリン/受容体複合体の結晶構造情報と変異体解析により,リーリンと受容体双方について,相互作用に重要なアミノ酸残基を決定した.これらの結果は,エンドサイトーシス後にエンドソームにおいて,リーリンが受容体から解離する可能性を示すとともに,そのメカニズムの生化学的基盤を明らかにするものである.リーリンが酸性pHでも解離しない受容体の設計に,活用できるものと考えられる.
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Research Products
(3 results)