2009 Fiscal Year Annual Research Report
V-ATPaseによる酸性オルガネラの局在制御機構
Project/Area Number |
20770090
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
後藤 奈緒美 Iwate Medical University, 薬学部, 助教 (80403971)
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Keywords | V-ATPase / 酸性オルガネラ / リソソーム / 小胞輸送 |
Research Abstract |
V-ATPaseによる小胞内や細胞外環境の酸性化は、リソソーム酵素の活性化など、多くの生理現象において重要である。特に破骨細胞の分化過程において、V-ATPaseのa3サブユニットの発現量が増加し、a3の局在が細胞内から細胞膜へ変化することが知られ、この現象により、破骨細胞の骨吸収に必須な細胞外環境(骨吸収窩)の酸性化が進行すると考えられている。本研究課題では、このa3サブユニットに着目し、破骨細胞分化シグナルが、V-ATPaseの活性や構造、小胞輸送関連因子との相互作用に与える影響を明らかにすることを目的としている。昨年度、破骨細胞に発現しているa3は、a3-d1、a3-d2というV_0部分のサブユニット構成が異なる、少なくとも二種以上のV-ATPaseを形成しうることを示す結果を得たことから、今年度は、これらのV-ATPase間にどのような違いがあるのかを調べるために、生化学的および分子細胞生物学的解析を行った。mRNAの発現を調べたところ、ユビキタスなサブユニットのみが発現しており、V_1部分のサブユニット構成には差のないことが示唆された。細胞生物学的解析では、様々な条件検討を行ったものの、a3以外のV-ATPaseサブユニットの局在を明らかにすることはできなかったが、密度勾配遠心法による生化学的解析において、d1とd2はで異なる画分に回収された。このことから、破骨細胞の分化によりV-ATPaseの構成が変化することとV-ATPaseの局在するオルガネラの性状の関連が示唆された。
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