2008 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質をミトコンドリアへ供給する新規輸送分子の機能解明
Project/Area Number |
20770091
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
堀端 康博 Dokkyo Medical University, 医学部, 助教 (80392116)
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Keywords | 脂質 / 生体分子 |
Research Abstract |
細胞膜やオルガネラ膜は、リン脂質を主要構成成分とする脂質二重膜で構成されている。ところが多くのオルガネラは、自身の膜を構成するのに必要なリン脂質を生合成することができない。ミトコンドリアにおいては、外膜・内膜とも主にホスファチジルコリン(PC)で形成されているが、ミトコンドリア自身はPCを合成することはできず、リン脂質合成器官である小胞体からの供給に依存している。これまでは、ミトコンドリアへのリン脂質の供給は、ミトコンドアと小胞体との直接的かつ局所的な膜同士の接触(あるいは膜融合)によるリン脂質移動によって行われると考えられてきた。これに対し、申請者はリン脂質と結合し、ミトコンドリアへ輸送する可能性を有する可溶性リン脂質輸送タンパク質StarD-IIを見いだした。本年度では、StarD7-IIのミトコンドリア移行シグナルの解析および輸送リン脂質リガンドの同定を試みた。StarD7-IIのN末端側の75アミノ酸残基は、免疫細胞染色による解析の結果、ミトコンドリア移行シグナルであることが明らかになった。この配列を緑色蛍光タンパク質(GFP)に付加すると、GFPの細胞内局在が細胞質からミトコンドリアへと変化することも明らかにした。特異的な抗体を調製し、ショ糖密度勾配による細胞分画やプロテアーゼプロテクションアッセイを行った結果、StarD7-IIはミトコンドリア外膜と細胞質に局在していることがわかった。大腸菌を用いて発現・精製したStarD7-IIを調製し、蛍光標識した各種リン脂質を用いて輸送活性を測定した結果、このタンパク質はPCを特異的に輸送することが明らかになった。以上の結果から、StarD7-IIはPCをミトコンドリア外膜へ輸送する可能性が高い。今後は、StarD7-IIによるミトコンドリアへのPC輸送が、ミトコンドリア形成や機能維持、およびリン脂質生合成においてどのような役割を果たしているのかを解析する。
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