2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼへの還元力供給経路に関する生化学的・構造生物学的研究
Project/Area Number |
20770092
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉島 正一 Kurume University, 医学部, 講師 (30379292)
|
Keywords | 電子伝達反応 / X線結晶解析 / ヘムタンパク質 / 酵素反応中間体 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は酸素分子とNADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)からの還元力を用いる酸素添加反応によって、ヘムのα-meso位を部位特異的に開裂し、ヘムをα-ビリベルジン、一酸化炭素、鉄へと分解する酵素である。本研究ではCPRからHOへどのように電子が受け渡されるのかについて明らかにすることを目的としている。 CPRにはFAD、FMNの二種類の補酵素が含まれており、電子はNADPH→FAD→FMN→ヘム-HO複合体の順序で流れると考えられている。しかし、ベルドヘムからビリベルジン-Fe錯体へ至る反応過程に必要な還元力は、必ずしもFMNを経由しないことがこれまでの我々の研究から分かっている。このような還元力供給経路の違いは各反応ステップでのHOの立体構造の違いに起因する可能性がある。そこで、本年度は反応中間体であるベルドヘムとラットHO複合体の立体構造を明らかにした。この立体構造と既に明らかにしているヘム-HO複合体、ビリベルジン-Fe錯体-HO複合体の立体構造を比較することによって、還元力供給経路の違いが明らかになることが期待される。また、ベルドヘム-HO複合体の立体構造中においても、これまでHOの活性発現に重要とされてきた複数の水分子からなるヘムポケット内の水素結合ネットワークは維持されており、HOの反応機構を考える上でも重要な構造基盤が得られた。 CPR-HO複合体の立体構造は還元力供給経路を考える上で、最も重要な構造であるが、CPR-HO複合体の結晶は現在まで得られていない。本結晶を得るには複合体の安定化が重要な鍵となると考えられ、現在はCPRとHOの融合タンパク質の調製を行ない、その生化学的性質や結晶化条件を検討している。
|
Research Products
(9 results)