2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼへの還元力供給経路に関する生化学的・構造生物学的研究
Project/Area Number |
20770092
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉島 正一 Kurume University, 医学部, 講師 (30379292)
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Keywords | 電子伝達反応 / X線結晶解析 / ヘムタンパク質 / 酵素反応中間体 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は酸素分子とNADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)からの還元力を用いる酸素添加反応によって、ヘムのα-meso位を部位特異的に開裂し、ヘムをα-ビリベルジン、一酸化炭素、鉄へと分解する酵素である。本研究ではCPRからHOへどのように電子が受け渡されるのかについて明らかにすることを目的としている。 ヘム分子内ではCPRから受け渡された還元力はプロピオン酸側鎖を経て、中心金属へ受け渡されると考えられている。ヘムにはプロピオン酸側鎖が二本あるが、そのうちの片側をメチル基に置換した化合物(片足ヘム)とHOの複合体を調製し、酵素原応過程及びその立体構造を解析した。 立体構造からは、片足ヘムほプロピオン酸側鎖をヘムポケットの内側に向ける形で結合することが分かつた。これはHOがヘムのメチル基とビニル基の違いより、プロピオン酸側鎖をよく認識していることを示しており、他のヘムタンパク質であるミオグロビンやシトクロムP450とはヘムの認識が異なることを表している。酵素反応においても、どちらのプロピオン酸側鎖が残されているかによって、若干の差が確認された。 CPR-HO複合体の立体構造は還元力供給経路を考える上で、最も重要な構造であるが、CPR-HO複合体の結晶は現在まで得られていない。最近シトクロムP450とCPR間の電子伝達においては、従来のCPRの結晶構造とは異なる立体構造のCPRが機能しているとの報告がなされた。HOにおいても従来の結晶構造とは異なる立体構造のCPRが相互作用しているのではないかと考え、その構造が優先的になるCPRの変異体を作製し、HOとの共結晶化条件や、そのCPR変異体を用いた場合の酵素反応過程を検討している。
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