2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770096
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
七島 直樹 Hirosaki University, 大学院・保健学研究科, 助教 (80333730)
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Keywords | Hair keratin / 乳腺 |
Research Abstract |
Hirosaki Hairless Rat(HHR)はSprague-Dawley Rat(SDR)から生じたHair keratin遺伝子群の一部が欠失した乏毛を呈するラットである。HHRの雌は授乳期早期に乳腺がアポトーシスによって退縮してしまうために哺乳能力が低下していることが知られている。 Hair keratinはこれまで単なる毛や爪などの構造タンパク質として考えられてきたが、HHRでは発毛の異常以外にも乳腺の発達異常が認められるため、Hair keratinは乳腺で何らかの機能を担っていることが予想される。本研究では乳腺におけるHair keratinの発現と機能解析を試みた。 RT-PCRと免疫染色の結果から、Hair keratinのうち、Kb21がSDRの乳腺腺管上皮で発現していることが明らかになった。Kb21は妊娠前、妊娠14日目、授乳1日目、授乳10日目いずれにおいても発現しており、時期による発現の差異は認められなかった。さらに酵母Two-hybrid法により、Kb21と結合するタンパク質として、αやβカゼインなどのcasein系、細胞骨格系タンパク質としてαアクチン、アポトーシス関連タンパクとしてMilk fat globule-EGF factor 8 protein、proteasome、タンパク質合成にかかわるタンパクとしてリボソームのlarge unitであるribosomal protein、小胞体上のシグナルペプチドのレセプターであるsignal sequence receptor、mRNAのキャップ構造を除き、その分解を促すDCP2 decapping enzymeなどが同定された。 HHRではKb21が欠失しているため上記のタンパクと相互作用することができず、タンパク質合成能力が低下している可能性が示唆された。このように、Hair keratin Kb21の乳腺における新たな機能が解明されつつある。
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