2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化のタイミングを制御する転写因子Hesの分解システムの解明
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20770100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 妙子 Kyoto University, ウィルス研究所, 助教 (40402804)
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Keywords | Hes7 / タンパク質分解 / ユビキチン化 / リプレッサー活性 / DNA結合 / 二量体化 / リジン残基 |
Research Abstract |
Hes7タンパク質の分解について検討を行った。Hes7のリジン残基のそれぞれをアルギニンに変換した変異体タンパク質(K14R, K17R, K22R, K52R, K55R.K129R.K211R)を用いてユビキチン化のターゲットとなるリジン残基を探索した。その結果、Hes7の不安定性に必須のリジン残基を複数個(K14, K22, K52, K55)同定することが出来た。興味深いことに、K22, K52, K55は細胞内蓄積量が多いにもかかわらず、リプレッサー活性を失っていることが分かった。全ての変異体で、細胞内での核局在のパターンやホモ二量体化に異常は見られなかったが、K22R.K55R変異体ではターゲットDNA配列への結合能力が低下し、K52R変異体では、野生型に比べて他のHes family遺伝子との相互作用が強く、(おそらく不活性な)ヘテロ二量体を作りやすいことが分かった。これらの発見は、Hes7の22番目、52番目、55番目リジン残基は、タンパク質分解だけではなくHes7の機能発現(DNA結合や正しい二量体の形成)に必須であることを明らかにした。しかし、以下の問題は未だ解決されていない。まず、これらのリジン残基のリプレッサー活性の低下自体が、(例えば機能を発現したHes7を優先的に分解するメカニズムがあり、)タンパク質分解の遅延を引き起こすのかどうか、次に、Hes7を特異的に認識するユビキチン化酵素(E3)が存在するのかどらか、である。今後、これらのリジン残基の変異体を用いて、結合タンパク質を野生型と比較することにより、未だ同定されていないHes7のユビキチン付加酵素(E3)を同定することを試みる。
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