2008 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性紅色光合成細菌のカルシウムイオンによる耐熱性獲得機構の解明
Project/Area Number |
20770102
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 行宏 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (20321755)
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Keywords | 耐熱性 / カルシウム / 光合成 |
Research Abstract |
1. 紅色光合成細菌Thermochromatium tepidum(TTP)の培養・精製システムの構築 48-50℃に至適生育温度を有するTTPの培養システムを構築した。約10日間培養した菌体を用いて超音波破砕、界面活性剤処理、陰イオン交換カラム精製の条件を最適化することにより、以後の実験で必要な高純度の光反応中心複合体(LH1-RC)を供給可能な精製システムを確立した。 2. 赤外分光法による解析 赤外分光法を用いて、精製したLH1-RCからカルシウム(Ca)を除去、或は他の金属カチオン(Mg^<2+>,Sr^<2+>,Ba^<2+>,Cd^<2+>)で置換した効果を調べた。Ca^<2+>結合サイトを構成するアミノ酸配位子由来の構造変化や蛋白質の二次構造変化が期待されたが、Ca^<2+>除去及び金属置換による顕著な変化は観測されなかった。このことから、Ca^<2+>結合はLH1を構成するαβポリペプチドの末端部位で起こり、LH1全体に及ぶ著しい構造変形を伴わないことが示唆された。現在、ケージ化Ca^<2+>化合物を用いて微小変化を検出すべく研究に取り組んでいる。 3. ^<113>Cd-NMRによ解析 ^<113>CdCl_2(>90%^<113>Cd-enrichment)を用いて^<113>Cd^<2+>置換LH1-RCのペレットを調製した。研究協力者である大友教授(茨城大)の協力を得てCP-MAS固体NMRスペクトルの測定を試みたが、有意のNMR信号は検出されなかった。本測定はペレットで行うため、大量の試料が必要である。加えて、Cd^<2+>置換試料の安定性が低いため、試料調製の段階や積算の間に試料の劣化が起こったものと思われる。試料調製法の高効率化や低温でのCP-MAS NMR測定が当面の課題であることを認識した。
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Research Products
(2 results)