2009 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性紅色光合成細菌のカルシウムイオンによる耐熱性獲得機構の解明
Project/Area Number |
20770102
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 行宏 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (20321755)
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Keywords | 生物物理 / 蛋白質 / 耐熱性 / 光合成 |
Research Abstract |
(1) 赤外分光法による解析 ケージ化カルシウム化合物(Dimethoxynitrophenamine)を用いて、Ca^<2+>結合による蛋白質の微小な構造変化の検出を試みたが、試料形態、温度制御、低スループットに由来するノイズレベルの増加により、有意の信号を検出することはできなかった。従って、S/N比を向上させるため、低温制御が可能な温度コントロールシステムを構築し、光学材料を組み合わせて高スループットを可能にした。現在、改良した装置を用いて測定を進めている。 (2) ^<113>Cd-NMRによるCa^<2+>配位環境の観測 ^<113>Cd^<2+>置換LH1-RCのペレットを調製し、再度CP-MAS固体NMRスペクトルの測定を試みたが、Cd^<2+>置換試料の不安定性により有意のNMR信号を得ることができなかった。試料調製段階でのサンプルの不安定化を克服するため、Cd^<2+>を生合成的に組み込んだ菌体の培養を試みた。Cd^<2+>では正常な生育が見られなかったが、その過程でSr^<2+>が生合成的にCa^<2+>と置換し、耐熱性は保持されたまま吸収特性が大きく変化することを見出した。金属イオンによる集光システムの構造・機能制御は他の紅色細菌には見られない現象であり、現在、Sr^<2+>置換型LH1-RCの特性評価を進めている。 (3) ラマン分光法によるバクテリオクロロフィル(BChla)2量体の観測 Ca^<2+>結合サイトはBCh1aが位置するLH1-αβポリペプチドのC末端近傍、あるいはN末端に存在すると考えられる。現有のラマン分光装置を用いてLH1-R3Cのカロテノイドに由来する共鳴ラマン信号を検出した結果、金属除去及び金属置換の影響がなかったことから、カロテノイドは金属結合サイトの構造変化に関与しない、即ち結合サイトがC末端側に存在する可能性が示唆された。今後、近赤外レーザーを用いたラマン散乱を測定し、BCh1a2量体の配向状態について検証する予定である。
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Research Products
(4 results)