2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合糖質コンドロイチンを介した新しい細胞質分裂制御機構の解明
Project/Area Number |
20770104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水口 惣平 Kyushu University, 理学研究院, 学称研究員 (50398103)
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Keywords | 糖鎖 / C. elegans / 細胞分裂 |
Research Abstract |
本研究は、コンドロイチン及びコンドロイチンプロテオグリカンの細胞分裂などに関する新しい生体内機能を、モデル生物線虫を用いて解明することが目的である。平成20年度の研究で以下の重要な知見を得た。 線虫のコンドロイチンプロテオグリカンであるCPG-1, CPG-2(chondroitin proteoglycan)の蛍光融合蛋白質を発現するトランスジェニック線虫を作成し、三次元タイムラプス顕微鏡で受精から胚発生の様子を観察する実験法を確立した。観察の結果、これらのコンドロイチンプロテオグリカンが卵成熟時に卵細胞の細胞質に蓄積され、granuleの成分として大量に合成、蓄積され、受精後細胞外に移行することで、胚細胞の受精をきっかけとして細胞外に放出されることを確認した。特にCPG-2はcortical浸透圧耐性等に働く線虫の卵殻形成に関与していた。 更に、コンドロイチン合成に関する酵素やCPG-1, CPG-2の欠失が線虫生体に及ぼす影響を詳細に観察したところ、生殖巣の卵母細胞にも異常が生じていることが明らかとなった。線虫では通常減数分裂時の卵細胞は受精まで細胞の分裂を停止し休止状態(meiosis-I)に留まるが、コンドロイチン関連因子の異常が生じると受精を待たずに有糸分裂を開始してしまい、高度に多核化する場合があった(endomitotic phenotype)。これは、今まで他の研究グループが指摘していた線虫胚細胞の浸透圧による分裂異常とは明らかに異なる、新しい複合糖質による細胞分裂制御機構を示唆している。 また本研究では、平行してコンドロイチン合成酵素や、CPG-1, CPG-2それぞれの欠失型変異体株を得、それらを用いた蛋白質発現変動プロテオーム解析を行っており、これまでに、コンドロイチン関連因子の異常によって線虫卵黄蛋白質等の発現が大きく変動する事が確認されている。
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Research Products
(4 results)