2008 Fiscal Year Annual Research Report
多機能AAAタンパク質p97の機能解析 ~各ドメインの生体内機能と生化学的機能
Project/Area Number |
20770106
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江崎 雅俊 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 助教 (70437911)
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Keywords | ATPase / 協同性 / AAAタンパク質 / p97 |
Research Abstract |
出芽酵母Cdc48pは細胞の増殖に必須であり, C末端側のAAA ATPaseドメイン(D2)のATPase活性は必須であるが, N末端側のAAA ATPaseドメイン(D1)のATPase活性はdispensableであった。例外的に, D1ドメインにATPは結合できるが加水分解できないWalker B変異体(E315Q)を発現する酵母株は致死であった。そこで, E315Qの致死性の分子内抑圧変異体のスクリーニングを行った。その結果, D1ドメインだけでなくD2ドメイン内の変異によってもその致死性が抑圧されることがわかった。一方, 線虫のCdc48pホモログのin vitro ATPase活性解析の結果, 野生型のD2ドメインのATPase活性は協同性を示すが, E315Qに相当する変異体は協同性を失っていることがわかった。そこで, さまざまな抑圧変異体についてATPase活性を測定したところ, 解析を行った全ての変異体において協同性が回復していた。さらに, 協同性の指標となるHill係数と酵母の増殖速度には, 非常に高い相関性が見られた。ATPase活性自身の程度と酵母の増殖速度にはあまり相関性が見られないことから, Cdc48pの機能にはD2ドメインのATPase活性の協同性が非常に重要であることがわかった。これまで, 協同的なATPase活性はいろいろなタンパク質で観察されているが, 協同性が機能に必要であることを示した例はほとんどなく, 当研究成果は重要な発見である。
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Research Products
(4 results)